1系統のジャガイモが世界を大飢饉に陥れた!~馬鈴薯飢饉~
こんにちは!
はとです。
今日はヨーロッパの某国が、ジャガイモのために壊滅してしまったお話です。
解説もあるので、ぜひ読んでみてください!
19世紀、ヨーロッパの某国。
人々の主食は小麦でした。
農民が必死になって作った小麦を、貴族がごっそり奪い取っていくのでした。
ある時、ある船乗りがアメリカから1つのジャガイモを持って帰りました。
ジャガイモは栄養繫殖をすることができ、1つのジャガイモからいくつものジャガイモを生産することができます。
ある船乗りがアメリカから持って帰った、たった1つのジャガイモからヨーロッパ中にこのジャガイモが広まりました。
ヨーロッパはいつもどこかが戦争しているような場所です。
某国でも戦争が起こりました。
そして、せっかく育てた小麦が踏まれたり焼かれたりして、食料がなくなってしまいました。
そんなとき、地面の下に生えるジャガイモが目に入りました。
土の下にできるジャガイモは、踏まれたとしても収穫することができます。
某国の国王はこれに目をつけて、ジャガイモの生産を推奨します。
このことによって、ジャガイモが某国全体で広まることになり、
貴族は依然として小麦が主食ですが、庶民ではジャガイモが主食となりました。
その後、某国の戦争が終わり、平和な時代が訪れました。
某国の人口が増加し、さらに主食であるジャガイモの需要が増え、
ジャガイモの生産量が増えました。
ジャガイモは、某国にとってなくてはならない存在となっていました。
この当時の某国では、人口の3割はジャガイモに依存していたといいます。
ある日、事件が起こります。
某国のジャガイモが全滅したのです。
調べてみると、疫病が発生したようでした。
それも国内のすべてのジャガイモで疫病が発生していたのです。
このことにより、某国は一気に食糧難となりました。
某国では、100万人以上の人が餓死してしまいました。
それ以外の某国民は国外に脱走してしまいました。
このできごとの解説
これは実際にあったできごとで、「ジャガイモ飢饉」と言われています。
19世紀のアイルランドで起こりました。
この事件のキーワードは、「1つのジャガイモ」です。
ジャガイモは栄養繁殖と言って、1つのジャガイモからまったく同じジャガイモをいくつも作ることができます。
つまりクローンを作ることができるわけです。
問題はここにありました。
植物にも個性があります。
「おいしいもの」「病気に強いもの」「害虫に強いもの」「たくさん収穫できるもの」
などなど、さまざまな個性があります。
人間にも、風邪にかかりやすい人、かかりにくい人がいますよね。
それが植物にもあるわけです。
ジャガイモ飢饉が起こった原因は、
- 1種類のジャガイモだったこと。
- 栄養繫殖で増やしたこと。
この2点です。
通常植物が繫殖するときは、受粉して種子をつくって増えます。
種子は「病気に強いもの」「たくさん収穫できるもの」「害虫に強いもの」「おいしいもの」など、いろんなものがかけ合わさってできているので、多様性があります。
某国に1種類のジャガイモしかなかったために、1つの病気が国内に存在するすべてのジャガイモに疫病が発生してしまうという事態に陥ったのでした。
以上、多様性は大事だよっていう話でした。