にちにち草

園芸や自然、生物に関することを記事にしていきます。

マダニに気を付けましょう!

最近、キャンプや登山が流行っています。
今後も、自然に関わる人が増えていくことが予想されます。

山や野原など、野生動物が生息している場所では、マダニが生息しています。
マダニはSFTSなどのマダニ感染症を媒介することで知られ、
毎年マダニ感染症による死者を出しています。

 

 

マダニとは

f:id:rps_yb:20210402003028p:plain

いらすとや

マダニは、クモ綱ダニ目マダニ亜目に属するダニの総称で、
大きさは小さいものでは90μm、大きいものでも3cmという
とても小さな生き物です。
哺乳類や鳥類、は虫類などに寄生して、動物の血を吸うことで生きています。
マダニは脱皮をするときと産卵をするときに動物の血が必要で、
幼ダニ、若ダニ、成ダニの各生育段階で1回ずつ吸血するので、
生涯で3回吸血します。

マダニは草の先のほうで、通りかかる動物をひたすら待ちます。
動物がマダニの付近に通りかかると、
マダニは熱や二酸化炭素や光を感知し、
手を伸ばして、たまたま通りかかった動物にしがみつこうとします。

マダニは動物にしがみつくことができると、
蚊と同じように嚙んだときに麻酔物質を出して気づかれにくくするとともに、
セメント物質を出して口を動物の皮膚に固定します。
マダニに咬まれたときはなかなか取ることができません。
そうして、1週間ほど血を吸い続けて動物から離脱します。
その後、脱皮ないし産卵をします。

マダニの発生のピークは年2回あります。
1回目は春から夏にかけて、ゴールデンウイークのころです。
この時期は農作業やキャンプなどでマダニの生息地に入ることが多くなる時期になります。

2回目は夏から秋にかけて、8月から9月ごろです。
こちらも登山やキャンプのシーズン、また農作業の繁忙期と、
マダニに出会う可能性が高い時期です。

f:id:rps_yb:20210402120849j:plain

フタトゲチマダニ

マダニの危険性

マダニは日本紅斑熱SFTSなどの病気を媒介することが知られています。
さらに厄介なのは、マダニが媒介する病気に対して有効なワクチンが
未だに存在しないことです。

日本紅斑熱
日本紅斑熱は、病気を持つマダニに咬まれた場合、
7~10日ほどたったころに、咬まれた場所を中心に、
小豆ほどの赤い斑点が皮膚に現れ、全身に広がります
さらには、熱が出てひどい場合は死亡することがある病気です。
西日本を中心に被害が出ています。

SFTS重症熱性血小板減少症候群
SFTSは、2006年に中国で発見された新しい病気で、
日本では2012年山口県で初めて患者が確認されました。
その後、西日本を中心に感染者が増加し、
2019年には100名以上の感染者を出しました。
この病気は、マダニに咬まれてから5日から14日ほどたった後に、
発熱や嘔吐下痢などの症状とともに、血小板と白血球が減少することが
特徴的な病気です。
この病気も最悪の場合、死亡します。

また、このSFTSは人のみならず、犬や猫、ヤギ、チーターなど、
多くの動物での感染が報告されています
なので、飼い犬や飼い猫、家畜についても、マダニに気を付ける必要があります。

このほかにも、野兎病やライム病などの病気を媒介します。
マダニはシカの生息地拡大に伴って、感染域が拡大する可能性が示唆されています。

f:id:rps_yb:20210402121130j:plain

ウサギについたマダニ(赤丸の箇所)

もしマダニに咬まれたら?

もしマダニに咬まれてしまった場合は、無理に取ろうとしてはいけません
皮膚にかみついているマダニを無理にとると、
頭や口が皮膚に残ってしまったり、体をつぶしてしまうことによって、
病原菌が体内に一気に流入してしまう可能性があります。
最寄りの皮膚科や外科に行って除去してもらいましょう
数週間程度体調の様子をみて、発熱などの体調変化があった場合は、
病院に行きます。
日本紅斑熱SFTSも、早期発見であれば重症化しにくい傾向にあります。

病院に行く際は、マダニに咬まれたことや咬まれた日付などをまとめておくと、
話が早いです。

マダニ予防

マダニの予防は、マダニに咬まれないようにすることが1番です。
山や野原、畑に行く際は、長袖長ズボンで、皮膚を露出しないようにします。
また、シャツのそでを手袋の中に入れたり、ズボンのすそを長靴の中に入れたりすると効果的です。
忌避剤もしようしたほうがいいですが、忌避剤は100%防ぐことができるものではないので、過信しないようにします。
帰宅した際は、上着を部屋の中に入れずに、ガムテープなどで服についている
マダニを除去しましょう。
さらに、お風呂に入ってマダニが身体についていないか確認しましょう。

国立感染症研究所資料↓

http://www.niid.go.jp/niid/images/ent/PDF/190730madanitaisaku.pdf

 

参考文献