実は有用な昆虫?~防御力最強の小さな昆虫~
こんにちは!
はとです!
みなさんは、カイガラムシを知っていますか?
果樹やお茶、お花など、多くの植物の害虫です。
1cmにも満たないこの昆虫が、ときに大きな樹を枯らすことがあります。
害虫「カイガラムシ」は先週記事にしているので、こちらもご覧ください。
カイガラムシは自分が出すフンや分泌物を身にまとって、自分自身を鉄壁の要塞にします。
分泌物を身にまとったカイガラムシは、殺虫剤も通さないので本当に厄介です。
園芸をやっている方や農家からは嫌われるカイガラムシですが、実は有用な昆虫として注目されています。
カイガラムシを育てる?
インドや東南アジアではカイガラムシを農業の副業として育てています。
これがけっこうな収入になるようです。
育てられるカイガラムシは「ラックカイガラムシ」という種類のカイガラムシです。
このカイガラムシは赤いカイガラムシで、日本のカイガラムシよりも繫殖力が強いのが特徴です。
このラックカイガラムシを、日立の木として有名なアメリカネムノキや釈迦が悟りを開いたと言われているインドボダイジュに放って飼育します。
ラックカイガラムシは、木につけた量の3倍もの数になると言われているので驚きです。
インドではラックカイガラムシの1年間の生産額が12億5000万円にもなるそうです。*1
もちろん、ラックカイガラムシは農作物にもついてしまうので、農作物につくと害虫として駆除されます。
カイガラムシをなにに使うの?
さて、こんなにカイガラムシを育てて、いったいなにに使うのでしょうか?
ラックカイガラムシからは赤い色素が取れます。
もう少し詳しく言うと、ラックカイガラムシが自分自身を要塞にするためのフンや分泌物から赤い色素を取ることができ、これを「ラック(シェラック)」と言います。
インドでは古くからラックを染料として使っています。
また、私たちの日常のもこのラックが使われています。
食品添加物の1つに、「ラック色素」というものがあります。
これはラックカイガラムシの分泌物が原料です。
例えば、アンパンの餡(あん)に色をつけるのに使われていたり、辛子明太子にもラック色素が使われています。
実はみなさん、普通にカイガラムシの分泌物を食べているのです。
それだけではありません。
お薬の錠剤のコーティングやガムのコーティングなどにもラックが使われています。
さらにさらに、テープや接着剤、口紅、マニキュア、花火、ニス、インクなど、ありとあらゆる場所で使われています。
実は日本でも栽培されていた!
日本でもカイガラムシを栽培して利用していたことがありました。
イボタロウムシというカイガラムシで、ネズミモチやトネリコなどに寄生する白いカイガラムシです。
このイボタロウムシの分泌物は、ろうそくや器の艶出しとして使われていました。
日本では会津(現在の福島県)が産地で「会津蝋」と呼ばれていました。
現在は国内で栽培されてはいませんが、中国から輸入されてコピー機のトナーや医薬品に使われています。
日本にもたくさんのカイガラムシがいるので、もしかするとまだ発見されてないだけで、有用なカイガラムシがいるのかもしれません!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
カイガラムシや昆虫の見る目が変わるとうれしいです!
今回参考にした本はこちら!
ぜひ読んでみてください!
*1:1992年の統計データ