にちにち草

園芸や自然、生物に関することを記事にしていきます。

虫は虫で対処しよう!~生物学的防除~

こんにちは!

はとです!

 

植物を育てていると、必ず害虫に頭を悩ませることになります。
果樹や野菜だとその影響は大きいです。

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アブラムシ

害虫を防除するために、農薬を買ったり道具を買ったりとさまざまな費用と労力がかかります。

そこで近年注目されているのが、天敵の活躍です。
天敵は、害虫を食べたり殺したりして害虫の数を減らしたり、抑えたりする生物です。

ナナホシテントウムシが有名な例です。
ナナホシテントウムシは害虫であるアブラムシを食べるので、アブラムシの天敵です。

 

天敵を使う意義

 

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天敵などの生物も農薬として販売されています。
生物農薬」と言われます。
生物農薬は農薬なので、無農薬栽培では使用することができません。

自然界では食べる食べられるの関係が構築されています。
食物連鎖と言いますが、自然界では食物連鎖はかなり複雑になっています。
植物を農薬を使って育てていると、害虫と一緒に天敵も殺しますし、害虫でも天敵でもない生物も殺してしまいます。
つまり、食物連鎖が単純になります。
こうなると、特定の種が大量発生してしまうことや今まで問題にならなかった種が問題になってしまう場合があります。

一般的に慣行農法*1よりも、有機農業のほうが食物連鎖が複雑になります。

これまでの研究で、天敵を使うほうが農薬にかかる費用が抑えられることが知られています。

また、天敵を利用する最大のメリットは、害虫が抵抗性を持つ可能性が低いことです。
今までの農業では、農薬を使いすぎて農薬が効かない害虫が増えました。
しかし、天敵では一部の例外を除き抵抗性をもつ可能性は低いです。


しかしながら、まだまだこの現実を知られていないか、知っていても信じていない人が多く、普及しきれていません。

天敵に向いている生物

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クモ

天敵は害虫の天敵であることが前提です。
害虫とは、人間が農業などをする上で邪魔になる虫のことです。
天敵の天敵は害虫です。

天敵として使える生物は以下のような特徴があります。

  1. いろんなものを食べる虫よりも、この害虫だけを食べる生物のほうが使いやすいです。
    いろんなものを食べる生き物は、共食いしてしまったり、ほかの天敵も食べてしまうので、少し使いにくいです。
  2. 大食いで食べ残しをしない虫のほうが天敵として使いやすいです。
    周りに害虫がいたら、片っ端から食べていくほうが天敵として使いやすいです。
    アブラムシなどの害虫は、1匹からでも増殖することができるので、できれば全滅させてくれるほうがいいです。
    カマキリみたいに、目の前に害虫がいるけど気分次第で見逃してしまうような昆虫はあまり天敵として向いていません。
  3. あまり移動しない生物が使いやすいです。
    行動範囲が広いと、放ったらすぐどっか行ってしまうので、あまり意味がなくなってしまいます。
  4. 増殖や管理がしやすい生物のほうが天敵として利用しやすいです。
    天敵として使うために費用や労力がものすごくかかってしまっては本末転倒です。

 

実際に使われている天敵

住友化学園芸 殺虫剤 STゼンターリ顆粒水和剤 20g

天敵にはさまざまな種類がありますが、いくつか例を紹介します。

  • バチルス・チューリンゲンシス(BT)
    BTはチョウ目幼虫の天敵です。
    バチルス・チューリンゲンシスという菌がチョウの幼虫の体内に入ると毒素となって幼虫を殺します。
    もともとはバチルス・チューリンゲンシスの菌をまいていましたが、今ではバチルス・チューリンゲンシスの毒素をまいています。
    ホームセンターでも売られていますので、一般の方でも入手できる生物農薬です。
    チョウ目幼虫にしか効かないので、クモやほかの昆虫を殺すことはありません。
  • タバコカスミカメ
    最近注目されているのが、このタバコカスミカメです。
    タバコカスミカメはナスの害虫であるコナジラミやアザミウマ類(スリップス)を食べるカメムシの仲間です。
    ナスを栽培しているハウス内にゴマを一緒に植えておくと、コナジラミやアザミウマ類がいないときでも、タバコカスミカメがゴマを食べて生きていけるので、
    周年で飼うことができます。
  • チリカブリダニ
    ハダニなどの天敵として有名な肉食のダニです。
    農協などで販売されていて、マニュアルもたくさんあります。
    イチゴを栽培される際にはおすすめの農薬です。

天敵はどの害虫を駆除するのかを決めてから選びましょう!

失敗した天敵

日本で初めて生物農薬が実用化されたのは、1971年に某大手製薬会社が開発したクワコナカイガラヤドリコバチです。

クワコカイガラムシという果樹の大害虫に対する天敵なのですが、1匹の鉢で1015匹のクワコカイガラムシを殺すことができます。
また、増殖させることも簡単だったので、話題となりました。

しかし、このクワコナカイガラヤドリコバチの販売は失敗してしまいます。
理由は、優秀すぎたことです。
販売したクワコナカイガラヤドリコバチが、果樹園に定着してしまったのです。
これは農家にとっては喜ばしいことです。
1度買ったら半永久的にクワコカイガラムシを抑えることができます。
反対に、農薬会社は大損です。
各農家に1回しか売れないのですから儲かりません。

こうした経緯でクワコナカイガラヤドリコバチは販売中止になりました。

 

 

いつもご愛読してくださり、誠にありがとうございます。
私は日本語が下手なので、拙く読みづらい文章で申し訳ございません。

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まだまだ勉強中ですが、できる限り対応させていただきたいと思います。

これからも、園芸や自然、農業など、さまざまな情報を発信していきますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

                                 はと

*1:従来通り、農薬を使って害虫を防除する方法